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託され屋さん

人生とはなんぞ。そんな事を考えては自分がよく分からなくなる男のブログです。

おまえさん、あんまりおまえさんが誰かを崇拝するとほんとの自由は得られないんだぜ

こんばんは(にちは)

この言葉は、ムーミンに出てくるスナフキンによる言葉です。
誰かを崇拝し過ぎるあまり、本当の自分を身失い、本来の意味での自由を失うこともある。
人の影響を受けることが多い僕には、これは永遠のテーマです。




10/29
横浜の双子、薫くんと茂くんが用意してくれた宿を出た僕は、青葉台へと向かった。
(このホテルは関内にあったので、昨日のゴール=今日のスタート。僕が道中を自力で歩く事にこだわっていたので、これは二人の気遣いだろう。細かいところまで気がつく二人には本当に頭が上がらない。)

青葉台への道は既に知っていたので、予定よりもかなり早く着くことが出来た僕は、駅前の書店で本を買う事にした。(お金も無いのに!)
様々なコーナーを周り、何を買おうか考えた僕は、悩んだ結果星の王子さまを購入した。
昔読んだ星の王子さまではない、新約だ。

約束の時間になり、僕は友達と約束した場所に向かった。
少し早く着いたので、早速先程買った本を読み始めた。

少しばかりすると、友達がやってきた。
彼の名前は、「りょう」。(本人の希望により、イケメン、と付け足しておこう。)
幼馴染の大学時代の同級生で、やはり彼らの大学時代に知り合った。




りょうと知り合った頃、僕は彼の事をよく分かっていなかった。
なんと言うか、芯がなくてフニャフニャしている。
そんな事を感じた事を覚えている。

しかし、それは彼の本質では無かった。

だいぶ前の話になるが、彼の身に大変なことが起こった。
その時の彼は、ひどく弱っていて、とても辛かったと思う。

彼の本質を知ったのはその時だ。

彼はそんな時でも、弱音を吐いたりすることなく、僕の他愛もない話に笑ったり、逆に僕の悩みを聞いて励ましたりしてくれた。
そんな彼を、僕は素直に尊敬した。

人間は弱ってる時ほど本性が出ると言う。

彼の本性は、素晴らしく立派な芯があった。
彼の本質は、とても優しかった。




居酒屋に移動し、これまでの事とこれからの事を話しました。
彼との対話は、非常に面白いアイデアを閃かせてくれた。
この先も、このアイデアを煮詰めて、いつかちゃんとした形にしたいと思う。
りょうとのやり取りの中で、何か希望に満ちたものが生まれかけているような気がしました。

りょう、ご馳走さまでした。ありがとう。

りょうの家まで、話をしながら二人で歩き、そこで解散しました。

僕は稲村ヶ崎まで行きたかった。
海岸線を通って、小田原まで歩きたかった。

彼と過ごした、とても有意義な時間の余韻にひたりつつ、僕はまた歩き出した。




10/30
昨夜、りょうと別れた後、しばらく歩き続けたのだけれども、雨と疲れにより途中にあった霧ケ丘公園と言う所に泊まる事にしました。

公園内にある建物の軒下に避難し、そこで野営をした。
雨が強まり、なかなか寝付く事が出来なかった僕は、本を読む事にした。

懐かしい感覚に包まれながら、本を読み続け、いつの間にか眠っていたようで、気が付くと朝になっていました。
通報されなくてよかった、そんな事を考えながら、僕はまた歩き始めた。

神奈川と言う場所は坂道が多い。
上って、下る。
それはなかなかに疲れるもので、特に舗装面を歩くと言うのは、思った以上に足に負担がかかるのです。

神奈川は坂道が多い。(二度言うくらい辛かった。)

徒歩旅も3日目になると、やはり疲労が溜まるようで、稲村ヶ崎に着いたのは16時くらいではあったけれど、僕は休む事にした。

海岸に寝袋を敷いて海を見ながら眠る。
日常生活ではなかなか出来ることでは無い。

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何人かの人は、僕を見ると少し驚いた顔をしたが(海岸に人が寝ていれば驚くに決まってる。)、優しさ故に何も咎められることは無かった。

僕は波の音を聞きながら目を閉じた。




10/31
ここに来て予定が変わった。

まず、第一に、目的とした人に会える可能性はほぼ潰えた。
そして第二に、11/2の夜までに所沢に帰らなくてはならなくなった。

僕は悩んだ。

そして決めた。

前者に対しての結論は、会えない可能性は高いが、会える可能性もゼロではないので、その人の住んでいる場所まで行ってみる。
そこまで行かないことには、可能性すら掴むことは出来ないからだ。
後者に対しての結論は、その期日までに帰る。

まとめると、今日中に熱海まで行き、その後2日かけて所沢まで戻る。

不可能ではない。
ちょっとキツイけれども。

僕はこれまで、1日辺りの歩行距離は20km〜30km内にするよう努めてきた。
理由は、次の日も不可なく歩き続けるためだ。
しかし、この変更後のプランは、1日に50km歩く事が前提になります。(慣れている人には可能なのだろうが、徒歩旅初心者の僕には覚悟が必要な距離。)

まぁ、何事もやらずには分からんよな。

自分にそう言い聞かせると、僕はまた歩き出した。

坂爪圭吾さんの家へ。




そもそも、何故僕が坂爪さんにこれ程までに会いたかったか。
それは、坂爪さんがネット上で様々な批評を受けているからです。

僕は、坂爪さんに対して非常に興味があります。
とても面白い人だと思う。

しかし、ネットには様々な意見があるので、これは一度自分の感覚で確かめるしかないな、と考えたのです。

自分の目で見て、自分の耳で聞く。

坂爪圭吾(呼び捨て失礼)という人間を、ただ自分の感覚で知りたかった。

それだけと言えば、それだけなのです。




坂爪さんの自宅についたのは、夜22時くらいだった。

坂爪さんは、自宅の住所を公開している。
と言うより、全てのプロフィールを公開している。
家にも鍵はかかっていない。
自由に出入りしていいらしい。

とは言え、やはり夜に見知らぬ人の家に入るのは初めての経験。
恐る恐る引き戸を開ける。

「ごめんください、どなたかいらっしゃいますか。」

返事は無い。

人の家に勝手に上がり込む27歳男。
絵面的には非常によろしくない。

やはり坂爪さんは不在だった。

しかし、僕はここまで来た。

それでいいんだ。
ここまで来た、その事に意味がある。

薫くん、茂くん、りょう、久しぶりに会う友人と言葉を交わし、歩きながら考え、生まれてきた新しい事も少なからずある。
目的は不達成ながらも、僕はとても満ち足りていた。

そして僕は、この妙に落ち着く小綺麗な部屋に泊まらせてもらう事にした。(主不在なのに。)

この場を借りてお礼を。
坂爪さん、ありがとうございました。
お風呂も勝手に借りました、すみません。(掃除はしました。)




11/1
非常にまずい事が起きた。

昨日の無理が祟ってか、右足を上げることが出来なくなっていた。
左足も、ふくらはぎがパンパンになっていた。

なんとかして、帰らなくては。

しばらく入念にストレッチしていると、幾分かマシになってきた。

僕は、坂爪さんに置手紙と旅で使っていたサングラス(安物だが。)を残すと、熱海を後にした。

脚を引きずりながらなんとか湯河原まで戻る。
朝食を取り、少し元気になった気がした。

その後は湯河原から真鶴、そして小田原へと抜けるのだが、この抜ける間の道が曲者なのです。
まず、上って下る。
更に、歩道がない区間が多い。(重ねて言えば、植物が生い茂っていて、車道に出ないと歩けない。)

右足を引きずりながら歩く。
昨夜の時点で、痛み止めは使い切っていた。

こんな事なら、一回分くらい取っておけばよかった。

そんな後悔を吹き飛ばす勢いで、僕の脇を車が走り抜けていく。

疲れた。とても。

ちょこちょこ休憩を取り、ただ景色を眺める。
状況はあまり良くないが、景色は最高だ。

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しばらく歩き続け、小田原まであと5km程になった時、生まれて初めての気持ちが芽生えた。

これ以上歩けない。

そんな事を思ったのは初めてだった。
気合だけで、どこまでも歩けると思っていた。
しかし、次の一歩が出ない。
これでは期日に間に合わない。

僕は、何故か幼馴染に電話していた。
急に話がしたくなったのだ。

しばらく、旅の間に思いついた事やあれこれを話した。
そして現状を伝えた。
みんなに助けてもらったのに、どうやら歩ききれそうも無い、と。

「歩ききる事よりも、無事に帰る方がみんな喜ぶと思うよ。」

僕はずるい。
自分一人では、諦めるという事が出来ない。
彼に言葉をもらい、やっと諦める事が出来る。

僕の強がりを見抜いて、的確なアドバイスをくれる。
僕の友人にはそんな人が多いと思う。
だからこそ僕は、今も無事でいられるのではないか、と思う。
情けないと思うが、僕は僕なのだから仕方ない。
これからもみんなに助けられて生きていくのだろう。
だからその分、やれる事はやりきりたい。

幼馴染に感謝しつつ電話を切ると、不思議ともう少し歩ける気がした。

調べると、2キロほど先に早川と言う駅がある。

そこから電車で帰ろう。
今の自分にやれる事はやった。
無事に、待ってる人の、大切な人の元へ帰ろう。

そう考えると、大切な人の顔が見たくてたまらなくなった。

そうして僕は、早川駅を目指した。




僕の足で15時間かかる道程を、電車は3時間足らずで運んでくれた。
だけれども、僕は自分の歩いた時間をとても愛おしく思う。




所沢に着き、家までの道のりを歩く。
もう家はすぐそこだ。

家のドアを開けると、大切な人が笑顔で僕を出迎えてくれた。

僕の旅は、こうして幕を閉じた。








帰れる場所があり、待っていてくれる人がいるというのはなんと素晴らしい事なのだろうか。
そんな事を思いながら、僕は彼女の隣で眠りについた。




人生に出会いと面白さを。